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こやまクリニックからのお知らせ

2026.02.02

ベースアップ評価料の算定を始めさせていただきます

昨今の円安を背景とした物価上昇や光熱費の上昇、また人手不足や最低賃金の上昇などで人件費も格段に上がっております。また、医療機関が薬品や医療品を購入する場合は消費税を含めて支払いをいたしますが、クリニックの会計では消費税は徴収しません。

ただし、そのような状況でも医療機関では勝手に値段を上げられません。当然医療機関の経営状況は悪化することが考えらます。国が医療機関をこのような状況に置くことにより、医療機関は収益が減少するため、看護師など医療従事者の給与を昇給させることが難しくなります。しかし国は賃金上昇を求めています。要求と実際に乖離がある状況が生まれています。

一般の企業は企業努力や物価上昇に伴う価格改定などで、ある程度収益をコントロールできますが、医療機関は診療報酬として国が決めるのでコントロールできません。そうなると国側の、「何としても社会保険料は抑制したい」という思惑と、「医療従事者の賃金はあげてもらいたい」という思惑にどうしても無理が生じます。そこで様々な知恵を駆使して考案されたのが、この「外来ベースアップ評価料」という新たな診療報酬の項目になります。

本来なら国は職員のベースアップに使ってもらうために、初診料、再診料をなどの診療報酬自体を増やして、その増資分から医療機関に賃金アップを求めればいいのです。単純に診療報酬を世の中のインフレに合わせてアップすれば済むだけの話です。医療機関も人手不足に困っているので、必要があればベースアップも自発的に行うでしょう。しかし財源不足を盾に社会保障費の削減を言い続けている国にとっては、診療報酬の根幹の部分を増やす方向には「絶対に」動きたくありません。つまり医療機関の収益となる形にはしたくないのだと思います。

初診・再診料などの点数を上げずに賃金を増やすにはどうするか。そこで、別枠で「ベースアップ評価料」という項目を作り、そこで得た増収はすべて職員の賃上げにしか使ってはいけないという、とても回りくどい、今までにない点数を令和6年に設けました。具体的には、ベースアップ評価料を算定することを申請すると、医療機関は患者様に初診に6点(60円)、再診2点(20円)のベースアップ評価料というものをこれまでの診療報酬に加えます。こうすることにより医療機関は規模にもよりますが、月に数万円収益を得ることができます。その費用を原資として職員のベースアップを行うというものです。医療機関はその数万円を、看護師をはじめ職員のベースアップに使用します。決して医療機関の手元に残してはいけないことになっています。国としては医療機関がその費用をベースアップに充当されたことを確認しなければなりません。そのためとても複雑な申請様式を作り上げました。そのベースアップ評価料で得た数万円の増収分を、どのように職員に分配するのか、どれだけ引き上げるかなどの、計画書を作成し申請しないといけないのです。それがあまりに難解ですので、一般の医療機関の院長が、片手間に申請することはほぼ不可能です。仕方なく申請を顧問税理士さんや顧問社労士さんに依頼すると、その作業費用がベースアップ評価料を上回るケースも出てきます。それではベースアップ評価料が手元に残りません。病院の医事課などの専門家がいない一般のクリニックは、申請したくてもできないところが多く出ていました。本来は全ての医療機関が利用可能な制度ですが、
実際申請できたのは20%くらいだそうです。

その後医師会や関連団体からの働きかけで、制度の申請がやや簡素化されました。
これだけの項目で良かったのかと半ばあきれるくらい、申請内容が少なくなりました。そして当院もようやく申請することができました。これで職員のベースアップが行えるようになりました。この制度もいつまで続くのか、実は定かではありません。ベースアップ評価料を申請する医療機関が少なければ、国は「それだけ医療経営は順調なのですね」と解釈を捻じ曲げ、次の診療報酬改定では消滅することになりかねません。残念ながらベースアップ評価料のみでは、職員全体のベースアップにかかる費用には足りないのですが、無いとますますベースアップは難しいので申請しました。

2月1日からの診療対しては、大変申しわけありませんが皆様の窓口負担からベースアップ評価料をいただきます。3割負担の方は初診で18円、再診で6円と、金額的にはそれほど大きくありませんが、料金が上がることには変わりありません。医療の現場から離職者を出さないことが、皆様に対するサービスの維持につながります。何卒ご理解のほどよろしくお願いいたします。そして頂いた費用で職員の昇給を行い、医療の質を高める形で患者様に還元できるように、職員一同努めてまいりたいと考えております。

また何かお気づきの点がございましたら、遠慮なく仰ってください。
今後ともよろしくお願いいたします。